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30番 高遠城(長野県) [日本100名城めぐり]

信濃国の諏訪地方は、飛鳥時代から諏訪大社の大祝(おおほうり)として諏訪氏が治めていました。
南北朝時代に諏訪氏から分かれた高遠氏は、諏訪より少し南を拠点とし、同じく諏訪氏一門の保科氏などを従えて、しばしば諏訪氏と対立してきました。
この高遠氏の居城が高遠城です。

戦国時代になると、諏訪氏の頼重と高遠氏の頼継が激しく対立していました。
一方隣国の甲斐国(今の山梨県)では、武田信虎と嫡男の晴信が対立していました。
晴信は信虎の追放に成功すると諏訪氏の攻略に取り掛かりますが、そこで晴信が目を付けたのがこの頼重と頼継の対立関係でした。
晴信は頼継を利用して諏訪氏を攻め落とすことに成功しました。
やがて頼継も晴信に討たれ、最終的に高遠城や保科氏等の高遠家の家臣団は武田氏のものになります。

さて、諏訪氏を滅ぼした晴信は頼重の娘を側室にし、勝頼が生まれます。
その後、晴信は家臣に命じて高遠城の大規模な改築を行います。
そして信濃国を平定した晴信は、家臣の秋山信友を高遠城主にし、自らは出家して信玄と名乗るようになりました。
やがて成長した勝頼が高遠城主になりますが、勝頼が信玄の後継的立場になると、今度は信玄の弟の信廉が高遠城主になります。
勢いに乗った信玄は上洛を果たそうと西に向かって進軍を始めましたが、その途上で急死してしまいました。
信玄の死後、信廉はかつて信玄が追放した父・信虎を高遠城に引き取り、やがて信虎もこの世を去りました。
信玄の跡を継いだ勝頼でしたが、この頃から織田信長や徳川家康の力が増大してきて、長篠の戦いで大敗を喫します。
勝頼は本拠を移動し、異母弟の仁科盛信を高遠城主にします。
しかし信長は本格的な甲州征伐を開始し、高遠城は陥落、盛信は討死、そして武田氏も滅亡します。

織田氏の支配下に入ると、高遠城は城攻めに功のあった毛利長秀が城主になりますが、そのわずか後に信長が本能寺で討取られます。
すると空白地帯となった旧武田氏領をめぐって家康、北条氏直、上杉景勝の間で天正壬午の乱が発生します。
ここで、保科氏の正直は氏直を後ろ盾として高遠城を奪還しました。
その後、家康の力の方が強くなってくると、正直は家康の方に付き、所領を安泰にします。
しかし、豊臣秀吉の時代が訪れ、後北条氏も滅亡すると、家康は関東に移封となり、正直もそれに従います。
そして高遠城には秀吉の家臣となっていた長秀改め秀頼が返り咲きました。
秀頼が病死すると妹婿の京極高知が跡を継ぎました。
秀吉の死後勃発した関ヶ原の戦いで高知は東軍に付き、その功績で丹後国(今の京都府)に転封となり、代わりに正直の子、正光が高遠城に入りました。

江戸時代には、2代将軍・秀忠の隠し子・幸松が正光の養子になりました。
これは、秀忠が正室・お江の方の怒りを恐れてひっそりと養育させていたのですが、やがて幸松は元服して正之と名乗るようになり、正光が他界すると家督を継ぎました。
この正之は異母兄である3代将軍・家光に非常に気に入られており、やがて出羽国(今の山形県)に転封になりました。
代わって、出羽国からは鳥居忠春がやってきますが、鳥居氏はいろいろと問題を起こして改易になり、その後は内藤清枚が入りました。

この頃、江戸城の大奥では一つの事件が起きました。
7代将軍・家継の生母・月光院に仕えていた大年寄りの江島が、月光院の代参として多くの女中をつれ6代将軍・家宣の墓参りに行った帰りに芝居小屋により、門限を過ぎてから城に帰ったのですが、これが大奥の風紀を乱したということで大きな問題になりました。
これには大奥内での派閥争いも絡んでいたと言われますが、江島は俳優・生島新五郎と密通していたという疑いもかけられて、高遠藩に流罪ということになりました。
高遠藩に流された江島は囲み屋敷に生涯幽閉され続けました。
世に言う、「江島生島事件」です。
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幕末になると、頼寧という博学多彩な人物が内藤氏6代藩主となり、藩政改革を推し進め、文武・産業の発展に寄与しました。
その息子、7代・頼直は、父の遺志を継いで藩校・進徳館を設立しました。
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明治時代になると、高遠城は廃城となり、建物も破却されて荒れ地となりますが、それを憂慮した旧高遠藩士たちが城内に桜の木を植えだしました。
そのおかげで、現在は桜の名所として知られるようになりました。
本丸には太鼓櫓も再建され、高遠城址公園となっています。
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隣にある高遠町歴史博物館に100名城のスタンプがあります。

100名城制覇まで残り54城

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